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【イベントレポート】採用の教科書には載らない、現場のリアルな悩みをほどく|採用ゆく年くる年

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前川 里紗
共創コーディネーター
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2026,01,05
#イベント

【3行要約】
・年末イベント「採用ゆく年くる年」より、採用の現場で起きがちな“教科書に載らない悩み”に、採用のプロ3名が向き合ったイベントの一部をお届けします。
・今回は【エージェントの担当者が頻繁に変わる】という相談を取り上げ、関係性の築き方(外側)と、自社側の整え方(内側)の両面からヒントを整理しました。
・全編をご覧になりたい方へ
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※この記事は、2025年12月に行われたオンラインセミナーを再構成したものです。登壇者の発言を中心に、当日のエッセンスをお届けします。


藤本 海(かい)|モデレーター
人材業界のベンチャーに新卒で入社し、営業や転職サイトの編集長を経験。
「人と場の可能性を開く」をテーマに、対話の場づくりや人材・組織領域でイマココラボにて活動中。

長縄 美紀(みっきー)|クリエイティブディレクター
元リクルート。採用の仕事に10年以上携わり、求職者と企業をつなぐコミュニケーションデザインを手がける。中小企業の採用支援を通じて、「採用で企業が変わる」瞬間に立ち会い続けている。

細川 裕之(ひろ)|プロジェクトマネージャー
元リクルートでHR・採用を経験後、副業マッチングの新規事業開発に携わる。
「人と組織の関わり方」を軸に、現場と構造の両面から視点を提供。

年の瀬に集まったのは「採用の教科書には載っていない」現場のリアルな悩みたち。
事前に寄せられた“お悩みハガキ”をもとに、採用の現場に長く関わってきた3人が、それぞれの視点から向き合いました。

この記事では、その中からひとつのお悩みを取り上げ、関係性のつくり方(外側)と、自社の整え方(内側)、両方の視点からヒントをお届けします。

【お悩みハガキ#01】エージェントの担当者が、なぜか定着しない

かい
これ、採用に関わっている方なら「一度は感じたことがある」というお悩みかもしれませんね。

ひろ
そうですね。すべてのエージェントが、というわけではないと思いますが、こういった声を聞く機会は、個人的にも増えているなと感じています。

かい
なるほど。エージェント側の問題にも見えますが、企業側で見直せるポイントも含めて、このお悩みを一緒にほどいていけたらと思います。

ではまず、みっきーからお願いします。

エージェントとの関係性を、どう深く築いていくか

👉ここがポイント
採用がうまくいくかどうかは、エージェントの数ではなく、関係の質で決まります。

みき
大事なところはですね、「うちの会社のことを、この人はものすごく解像度高く知ってくれている」
そう思えるエージェントと出会い、深く付き合える関係を築けているか、という点です。

かい
浅く広く付き合うよりも、「この人」という相手と深く付き合う、ということですね。

みき
そうですね。「今、事業はこういう方向に向かっているから、こういう人を採りたいんですね」と、
エージェント自身が企業の状態を語れる状態をつくることが大切だと思っています。

母集団をやみくもに薄く広げるよりも、「よく動機づけされた人が応募してくる」状態をつくる。
そのほうが、結果的に採用はうまくいきやすいと感じています。

募集職種ではなく、「人物像」で語るという考え方

👉ここがポイント
エージェントに伝えるべきなのは、職種名よりも
「どんな人が、この会社で活躍できそうか」という具体的な人物像。
人の顔が浮かぶほど、紹介の精度は上がっていきます。

みき
おハガキの中に「募集職種は伝えているけれど、ズレた人が上がってくる」とありましたよね。
エージェントに「こんな職種です」とだけ伝えても、実はあまりイメージは湧かないんです。

それよりも、
「最近入社した人は、前職でどんな経験をしていて、今どんなふうに活躍しているのか」
あるいは、
「どんな人がミスマッチだったのか」
そんなリアルな人物像を共有したほうが、ぐっと解像度が上がります。

かい
なるほど。そのほうが、「ああ、こういう人を紹介すればいいんだな」とイメージしやすくなりますね。

みき
そうなんです。採用ではよく、
「誰に(どんな人物を求めているのか)」
「何を(自社のどんな魅力を)」
「どのように伝えるか」
この3つをそろえて語ることが大切だと言われます。

採用を行う側が、エージェントと対話しながらこの3点を言語化していくことで、お互いの解像度が少しずつ揃っていくんですよね。

かい
ここまでのお話を聞いていると、「エージェントが動く力学を知ること」も大事そうですね。
これは、どういう意味なんでしょうか?

みき
そうですね。エージェントも商売なので、「どの会社を優先的に担当するか」という判断軸を持っています。たとえば、「いつまでに、何人、必ず採用するのか」といった採用目標をきちんと語れる会社は、決定する確率も高く、結果的に優先順位が上がりやすいんです。

かい
「いつかいい人がいたら」ではなく、「いつまでに採る」と決める、ということですね。

みき
まさにそうです。
「いい人が現れたら結婚します」という人と、「いつまでに結婚します」と決めている人とでは、やっぱり結果は違いますよね。

これはどの会社でもできることなので、ぜひ一度、言葉にして伝えてみてほしいなと思います。

エージェントは拡声器。自分たちのこと、きちんと伝えられていますか?

👉ここがポイント
ズレた紹介が起きているときは、自社の伝え方にヒントが隠れていることがあります。

かい
ひろくんの視点から見ると、このお悩みはどう映りますか?

ひろ
僕はですね、エージェントの担当者さんは「変わってもいい」と思っています。

かい
変わってもいい?

ひろ
はい。そこにあまり揺らがなくていいと思っているんです。
理由はシンプルで、マッチしていれば、そもそも担当営業は変わりにくい

だから「変わってしまう」よりも、「変わってもいい」と捉えたほうが、気持ち的にも楽なんじゃないかなと。
それよりも大切なのは、自社のオーダーの出し方や、共有している情報の中身を見直すことだと思っています。そこは、誰が担当になっても共通して影響するポイントですよね。

かい
なるほど。エージェントの前に、まずは自社のほうに目を向ける、ということですね。
具体的には、どんな点を見直していけばいいのでしょうか?

ひろ
エージェントさんって、拡声器みたいな存在なんですよね。
こちらが曖昧なお願いをしていると、その曖昧さが、拡声器を通して大きく広がってしまう。

「ズレた人が紹介される」というのは、もしかすると、自分たちが出しているオーダーがまだ言語化しきれていないサインかもしれません。

かい
なるほど。まずは自分たちのことを見直すきっかけにする、ということですね。

「条件」ではなく、「困りごと」と「基準」を言葉にする

👉ここがポイント
ミスマッチが続く背景には、「何に困っているのか」と「どこが合わなかったのか」が、
社内でも、エージェントにも、十分に言葉になっていないケースがあります。

ひろ
採用したい人って、どうしても「条件」で止まってしまいがちなんですよね。
でも本来は、何か困っていることがあって、それを解決するために、そのポジションがあるはずです。

たとえば「営業」とひとことで言っても、行動量をとにかく増やしてほしい営業なのか、
ニッチな商品を、ピンポイントの人に丁寧に届けられる営業なのか。
求めている力は、まったく違います。

だから、「どんな条件か」ではなく、
「何に困っていて、この人に何を解決してほしいのか」。
この視点から言葉にしていくと、ズレは少しずつ減っていくと思います。

一方で、「ズレた人が上がってきて、採用ができない」という場合、
社内でもう一つ起きがちなのが、「いい人材」の定義が揃っていない、ということです。

人事の担当者は「いい人」だと思っていても、現場の部長や役員は、同じように思っていない。このズレが続くと、エージェントは、「どんな人を紹介すればいいのか分からない」状態になります。

かい
たしかに。エージェントの立場からすると、そこは目線を揃えてほしいところですよね。

ひろ
なので、「なぜ今回は合わなかったのか」を社内でもきちんとすり合わせて、その目線を、エージェントさんにも言葉にして伝えていく。
そこまでできて、はじめて紹介の精度が上がっていくんだと思います。

かい
なるほど……。
みっきーのアドバイスは、エージェントとの関係性に目を向け、深く関わりながら人物像やコミットメントを伝えて、力学を動かしていく「外側」からのアプローチでした。

一方で、ひろくんのアドバイスは、自社の内部に目を向けて、発信する情報の質を高め、社内の目線を揃えていく「内側」からのアプローチでしたね。

このふたつを両輪として捉えながら、「じゃあ、来年は何を変えてみようかな」と、少し立ち止まって考えてもらえたら嬉しいなと思います。

……ということで、こちらがお一人目のお悩みでした。

アーカイブ配信のご案内

こんなふうに、年の瀬に届いた「お悩みハガキ」を起点に、採用の現場で起きがちな違和感や迷いを、ひとつずつ言葉にしながらほどいていく時間となりました。

この記事では、スペースの関係で最初のお悩みだけをご紹介しましたが、当日はほかにも、

  • 「なかなか会社が大きくならず、採用に踏み切れない」
  • 「高いフィーを払って採用したが、ミスマッチだった」
  • 「“即戦力”に惹かれて採用したものの、現場でうまくいかなかった」

など、読むだけで胸がきゅっとなるような声が、いくつも寄せられました。

それぞれのお悩みに対して、登壇者たちはすぐに答えを出すのではなく、
「何に迷っているのか」
「どこで言葉が止まっているのか」
を丁寧にたどりながら、対話を重ねていきました。

その空気感ごと味わっていただけるのが、アーカイブ映像です。

実際にご参加いただいた方からは、
「聴いていて、なんだか一人じゃない気がした」
「正解を押しつけられないのがよかった」
といった声も届いています。

「続きも聞いてみたい」
「自分の悩みに重ねながら見てみたい」
そう感じた方は、ぜひアーカイブをご覧ください。